マンスリー・レポート No.103 (2009年7月)
活動会員のレポート
  NPO UNISERVIS セミナー講師体験記
  相原 あいはら 正和 まさかず (元 ニチメン)

 ABIC事務局より、「中南米諸国の人々を中心として発足したNPO UNISERVISの創立総会で、彼らを励ます講演をしてもらえないか」とのお話があった。その昔、学生時代にメキシコを2ヵ月間周遊、現役時代には、現地駐在(カラカス、サンチャゴ等)を通じて、彼の地に親しみ、その素晴らしい歴史、文化、芸術、言語などに深い興味を持ち続けてきた筆者としては、即、快諾させて頂いた。
 数日後、ジャネット ディアス代表、その夫君ディアス コロンビア大使館2等書記官、協力者の加納女史の3人がABICオフィスに来られ、事務局も交えて打ち合わせた。テーマは「不況下の日本におけるビジネスチャンス」で、「起業」を中心に話して欲しい由。最近の不況により中南米諸国出身の方々も、日本で厳しい現実に直面している背景があり、講演時間は1時間、使用言語はスペイン語でとのこと。「日本経済の現状、有望分野、会社設立、会社形式・個人経営形式双方のメリット・デメリット、アドバイス、結論」という組み立てで、レジュメを作成することにした。

 7月18日セミナー開催日、1時間前に六本木アカデミーヒルズ49階に到着。開演20 分ほど前になると、あちこちから笑い声、「オーラ」というスペイン語の挨拶、現地 慣習である激しい「アブラソス」(抱擁)をする音も聞こえ、懐かしい顔や、初めて 見る人々に注目。
 定刻18:30、プログラム通りスタート。満面に笑みを湛えたジャネット代表が堂々の登壇。NPO UNISERVISの設立目的、経緯、今後の方針等につきスペイン語で基調演説。会場はほぼ満席で、150人程か。コロンビア、ペルー、ブラジル、ホンジュラス、メキシコ、さらにアジアからはフィリッピンの方も参加されていた。

 いよいよ小生の登場となったが、「Dr. Aihara、さあこちらへ」との紹介には驚いた。生まれて初めて博士と呼ばれて、苦笑することしきりではあった。種々気を揉んではいたが、いざ壇上に立つと不思議にも落ち着いて話を始めることができた。出席者の顔を左から右へ、右から左へ見遣りながら、スピーチ原稿も結局、ほとんど見ることもなく、自由奔放に話すことができた。 話し始めて5分も経つと、会場の皆さんの反応というか、様子を探る余裕が出てきた。皆さん興味津津、真剣に聞いてくれている。自分の経験なども織り交ぜつつ率直な説明をしたが、皆さんには結構、分かり易かったのではないかと、自負している。最後に若干時間が余ったので、私は日ごろ感じている事を述べた。
 「日本は、歴史的にも中南米諸国とは非常に良好な関係を築いてきたし、中南米諸国には、種々の場面で恩恵に浴してきた。自分は、皆さん方に対して、少しでもご恩返ししたいと念じてきたが、今夜の講演はそのささやかな努力の一部であり、この機会に恵まれたのは大変嬉しい」と結んだ。割れんばかりの大きな拍手、近寄って抱き締める人、心から満足し、関係者に「Gracias」(感謝)と言いたい。

 今回の講師を務めて感じたことは、ABICの果たす役割の多様性、その深み、重みであり、各層各界へのABICの浸透は、徐々ながら確実に進んでいると感じた。改めて、日本貿易会、ABIC事務局、会員各位のご尽力に対し、深甚なる敬意を表するとともに、自分もささやかながら、今後も更に何らかの形でお役に立ちたいものだと、強く感じた。

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