マンスリー・レポート No.52 (2005年4月)
活動会員のレポート
  GMS-BFの紹介とその活動―アドバイザーとしてラオスに派遣されて
    ジェトロGMS-BF専門家 小泉こいずみ 清司きよし(元 大丸)

 2004年7月中旬より、ジェトロ専門家として、GMS-BF(Greater Mekong Sub-region - Business Forum)の事務局があるラオスの首都ビエンチャンに約6ヵ月間派遣され、12月24日に帰国した。最近GMSという言葉をよく耳にするが、このGMS-BFのご紹介とその活動を簡単に報告させていただく。
 従来のメコン流域4ヵ国(カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム)にミャンマーと中国雲南省を加えた6ヵ国(正確には5ヵ国と1地域)で構成されたGMS地域では、東西・南北回廊などのインフラ整備は進められているものの、各国毎の市場は小さく、各国単位での経済成長の可能性は限られている。このため同地域での貿易手続きの簡素化・透明化の推進やビジネス関連情報の整備・普及を図ることにより地域内外の企業の誘致や貿易を活性化し、市場を統合することが期待されて、ADBのGMS経済協力プロジェクトの一環として、2000年10月に大メコン流域ビジネスフォーラム(GMS-BF)として域内の各国商工会議所で組織された。
 各国の商工会議所の代表が年次総会で1年間の計画を策定し、同席するドナーであるADB(アジア開発銀行)、UNESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の承認を得て、これらの活動計画を実行する。この活動を円滑に推進するために事務局(GMS-BF Secretariat)が、域内の中心に位置するビエンチャンに設置され、現地人の事務局長と数人のスタッフが、貿易・投資促進のための情報発信を行い、ニューズレターの発行、セミナー・見本市開催の手助け等をする。会長は任期2年の持ち回り制で、現在はミャンマー商工会議所のウィンアウン副会頭である。事務局の業務活動経費は、各国商工会議所や会員である民間企業からの年会費と、ADB、UNESCAPからの援助金で賄われている。

GMS-BFの事務局にて
GMS諸国への投資誘致セミナー
(2004年12月15日 バンコック)

 このGMS-BFよりジェトロに対し、同事務局に専門家を派遣し、事務局の活動を支援・強化して欲しいとの要請に基づき、2003年度に貿易投資円滑化支援事業(JEXSA)の一環として派遣が決定された次第である。
 専門家の主たる活動は、上記の目的を実施するための事務局運営の全般的指導(On the Job Training)を行うことで、他には加盟企業へのインタビュー等によるニーズの把握や問題点の抽出、そして周辺国日系企業との交流機会を提供することなどであった。
 具体的な活動としては、7月15日、ビエンチャンのGMS-BF Secretariatに着任、8月中旬よりミャンマーと雲南省の商工会議所や現地・日系企業の視察、9月初旬からはベトナム、カンボジア、タイへの各商工会議所や現地・日系企業の視察。その後はビエンチャンでの企業訪問等の活動が主であったが、11月11日より3日間は、バンコック日本人商工会議所のGMS委員会が主催されたミャンマー・タイ東西回廊視察ミッションに参加、11月20日にはカンボジアのシアヌークビルで開催された第5次年次総会にも出席した。
 12月15日にはタイ商工会議所と在タイ日系企業を対象とするGMS諸国、特にラオスへの投資を誘致するセミナーをバンコックで、翌16日にはベトナムのホーチミン市で日本人商工会議所のメンバーを主な対象としてADB経済回廊の専門家を招聘してセミナーを開催した。

 振り返って見れば、2004年5月下旬頃、ABICからの本件専門家派遣案内をメールで見て、こんな目的もハッキリしない難しいものとパスしていたが、ABICのメコンデスク担当者より薦められて、開き直りで赴任させていただいたが、いい経験になり勉強させていただき、充実した半年間であった。
 今後の活動については、引き続き2005年度も専門家を派遣するようADBやUNESCより日本側に要請がきている。
 ありがとうございました。

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