マンスリー・レポート No.31 (2003年6月)
活動会員のレポート
  大学講座、関西でも人気
   

大学・オープンカレッジ講座コーディネーター 増田 政靖(元 三菱商事)

 商品、地域、あるいは実務のエキスパートを単独で講師として派遣するだけではなく、チームにしてプログラムを組み立て、あちこちの大学、エクステンションセンターなどに講座として提供するという活動は、ABICの中でも忙しい活動の一つですが、関西地区でもこの動きが根付いてきました。きっかけは日本貿易会の特別研究会の成果をまとめた「IT革命と商社の未来像」(中谷巌編著)に興味を持たれた関西学院大学経済学部から「e-commerce時代の総合商社」というテーマで商社とITの実践的な関係を説明してもらいたい、という依頼があったことでした。

桃山学院大学での講義

 あらゆる商品を扱うことを自慢にしている総合商社OBでも、最新の情報技術を語れる人材は、とりわけ当センター会員の年代にはざらにいるわけではありません。加えて関西地区の大学の多くは講師が関西在住者であることを基本的な条件にしているため、会員の少ない関西での講座の組み立ては難航しましたが、難しいほど力を出すのはさすがは元商社マンです。基本的な考え方の説明から始まって、実際に現在商社活動のベースになっているシステムの実例、商社がリスクとイニシアティブを取って情報産業の会社を立ち上げ、運営している実例まで、8人の講師が工夫と熱意に溢れた講義を行いました。

 受講生の数も常に200人を超える人気番組となりましたが、毎回ほとんど全員に書いてもらうアンケートへのコメントには、あるいは鋭い指摘あり、あるいは実話への感動あり、あるいは講師への感謝ありで、私たちにとっても感激的かつ今後への示唆に富むうれしいものでした。中には「自分はメーカーに就職が決まったが、やはり総合商社にすべきだった」と大書した学生もいて、私たちOBもまだリクルート活動に貢献しているな、と笑い合いました。関西学院大学からはすでに2003年度にも同様の講義をしてほしいとの依頼をいただいています。

 この講座に関する関西会員とのコミュニケーションを通じて、関西地区における大学講座担当の必要性が一段と認識され、本年度から関西デスクで赤田堅、藤原照明の両氏にコーディネーターをお願いすることになりましたが、早速、桃山学院大学経済学部、同志社大学商学部、同大学院などからリスクマネジメント、日本企業論、貿易実務、ワークショップなどのご依頼が相次ぎ、スタート早々忙しくなりそうです。会員の皆さまの一段のご協力をお願い申し上げます。

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