マンスリー・レポート No.26 (2003年1月)
活動会員のレポート
  千葉県「中国広東省ビジネス視察ミッション」に同行
   

松本 勝美(元 丸紅)

 国際社会貢献センターでは、(財)千葉県産業振興センターと業務委託契約を結び、千葉県中小企業の海外進出の支援活動をしている。その活動の一環として昨年10月14日から18日に派遣された千葉県「中国広東省ビジネス視察ミッション」にアドバイザー兼通訳として同行した。本ミッションは、千葉県産業振興センター、ジェトロ千葉貿易情報センター、千葉貿易協同組合、千葉市貿易振興会が県内中小企業の中国に対する関心が高いこと、また対外進出には情報が不可欠であることにより派遣されたもので、総勢29名。派遣地は秋季交易会がちょうど開催中であり、また中国内で対外開放が最も早く、最も進んでいる広東省とした。

 10月15日、交易会会場を視察した。交易会とは輸出見本市のことで、中国政府が輸出振興のため、非常に力を入れているイベントである。開幕日であったこともあり会場は大勢の見学者で賑わった。展示品は大半が電気・工業製品であった。私は25年ほど前、数回交易会に参加したが、当時の規模は今の半分位、展示品は繊維製品、土畜産品が主で、機械はソ連規格の工作機械が並べられていた程度であった。今の交易会と比較すると、中国の時代の変化を痛切に感じた。

 16日、広州ホンダと東莞市匯美実業を見学。ホンダではエンジン組立ラインおよび車体組立ラインに案内された。いずれも清潔で整然として、現地社員の動きはてきぱきとしていた。これがホンダ関係者が当初調査しに来た時には蚊が湧きネズミが走っていたラインとは想像もできない。

 説明によるとホンダの部品の現地調達率は60%に達している。うち、日系現地工場からの調達が61%(全体の36.6%)、仮に海外調達を全部日本からとすると、約76%の部品が日本の技術によってサポートされている。これがホンダ製品の品質が良く、現地の需要家の信頼を得ている原因の一つではないかと思った。匯美実業はプラスチック金型の設計、製作をメインとした会社で、金型の値段が日本同類の75%、納期が30〜35日であるとPRしていた。

 17日、日本のテレビで報道され有名になった深センテクノセンターを見学。深セン市はもともと委託加工の盛んな所で、2002年1〜9月の対外貿易に占める委託加工品は55.85%である。テクノセンターは委託加工団地で、現在41社が入居し、製品は100%輸出している。ミッションはそのうちプレス工場、電子部品工場、トレーニングセンターおよび生活関連施設(食堂、寮)を見学した。

 ちょうど昼飯時であったので食堂を見学した。おかずは4、5種類、そのうち1種類を選ぶ。ハヤシライスのように、小さい洗面器のような器にご飯を入れその上におかずをのせる。ごはんの量もおかずの量も多く、日本の街中の食堂のハヤシライスの倍くらいの量がある。女子寮は8m×3mくらいの部屋に2段ベッド8台を入れ16人が生活している。ベッドには布団以外に着替え、本などいろいろな生活用品が並べられており、まさに個人の城という感じである。彼女たちは内陸部農村から来ており、2、3年働いて金を貯め、嫁入り道具を買うと聞いた。

 ミッションは無事帰国した。主催者側のアンケートによると、「手応えを掴んだ」と「積極的に可能性を探りたい」が合わせて約60%に達した。時間はかかると思うが、参加企業は貴重な一歩を踏み出したと思われる。

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