
都立高校での日本語指導の様子

「多言語と文化」(アラブ地域)の講義の様子
国内で働く外国人が増えており、東京都でも2025年1月1日現在で約72万人の外国人が居住していて、都立学校に通う外国人生徒が増えてきている。
ABICは、公益財団法人東京都教育支援機構(TEPRO)が都立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒の支援を行う「多文化共生スクールサポートセンター事業」をTEPROと協働して実施するため、2024年7月に両者間で協定書を締結した。現在、ABICが講師の紹介を行っている高校が7校(全日制5校、定時制2校)、特別支援学校(盲学校含む)が2校で、指導している会員は14人となっている。学校の授業についていけるようになることや日本語の試験問題が分かるようになることを目的として、全日制は放課後、定時制は授業前に、日本語を指導している。また、日本語がよく話せない生徒の保護者に対し、学校との面談や生徒向けの学校説明会への通訳を依頼されることがあり、2025年度は中国語6件、タイ語2件、アラビア語、ベトナム語、英語がそれぞれ1件ずつあった。今後、在日外国人がさらに増えると見られるなか、都立学校に在籍する外国人生徒への支援がますます重要になり、ABIC会員の活動の場もさらに増えていくと思う。
2025年度は、TEPROと協働で実施する日本語指導と通訳の支援のほかに、都立六郷工科高等学校が新たに設置した「多言語と文化」教科を担当する講師の紹介を行った。ABICに所属する活動会員の海外経験と語学力が生かされる新たな支援のかたちである。
同校は入試で在京外国人等枠を設けているため、さまざまな国籍やルーツの生徒が入学してきている。2025年度は新入生147人のうち、外国にルーツをもつ生徒が約30人、国別ではネパール、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、タイなどとなっている。それらの生徒が日本人生徒と共に主体的・協働的に学びを進めていけるように、また、全ての生徒が人との関わりの中で多文化共生社会を持続的に実現できる力を育んでいけるように、というのが本教科の設置目的である。
同校は、本教科の目標として、①多文化共生社会での課題解決に必要な知識および技能を身に付け、生徒が人と人との関わりや協働の中で生きていることに気付くこと、②他国の文化や生活様式等の学びの中で、自分との関わりから問いを見いだし、その解決に向けて調査・発表する力を身に付けること、③多文化共生社会への探求活動に主体的・協働的に取り組み、共生社会を持続的に実現するために行動する態度を育てることを掲げている。
本教科の学習内容は、外国人生徒には日本、日本人生徒にはネパール、中国、フィリピン、アラビア語圏の国々について、その言語や、歴史、地理、古典芸能や祭り、食文化、風習、暮らし方などについて学ぶものとなっている。日本国籍やダブルルーツなどの生徒にとって、母語、継承語、第2・第3言語およびその文化を学び直すきっかけにもなっており、クラスメートの言語的・文化的な背景や食文化(昼食のお弁当)などを理解することに役立っている。
日本人生徒は4クラスに分け、1クラスでネパール、中国、フィリピン、アラビア語圏の講義を1・2学期にそれぞれ4回ずつ、計16回の講義を通じて四つの言語と文化について学んだ。ABICでは、中国、アラビア語圏について、駐在経験豊富で言語とその国の文化に詳しい会員を講師として紹介し、担当してもらった。成果として、各国についての知識も深まり、日本人生徒と外国人生徒との交流も盛んになった。3学期には、各国や各言語の総括を行い、ネパールの講義では、生徒全員でネパールのダンスを踊って大変盛り上がった。