活動会員のレポート

地域企業の支援業務にやりがいを感じている日々

杉邨 すぎむら 一人 かずと (元 三洋電機)


訪問時、資料を使いながら説明する様子

 2022年10月初めごろ、ABICコーディネーターの方からメールを頂いた。その内容は「愛媛県下企業へのプロフェッショナル人材の紹介の話があるので応募しないか」とのお誘いであったが、当時の私は映像機器技術者として電機メーカーで積み重ねたキャリアを生かせる仕事を離れ、新たな仕事をスタートしたばかりの状況であり、かつ当該企業の所在が大阪から離れていたこともあり、いったんはお断りした。しかしながら、魅力ある仕事内容に心中は揺れていたことは確かで、そんな中、1週間が経過した頃、再度のメールが届き、確か電話でも「この案件はあなたしかいない」「ベストマッチングに間違いない」との非常に熱心な、そして誠意あるお話を頂き、Webによる面談・面接、その後、11月には2泊3日の旅程で会社を訪問し、対面での面談・面接の機会を頂いた。
 私自身、この時の面談・面接を通じて、私の経験や知見を生かしてもらえるこの機会を逃してはならないとの思いを強くしたことを記憶している。またこの間、ABICコーディネーターの方には、いろいろと相談することができ、多々アドバイスをもらったことは心強く、今もなお感謝している。
 このような経過で2022年12月から正式に採用していただき、業務形態は、双方の事情や状況を考慮し、通常はリモートで、これに加えて月1回の訪問での支援業務となった。そして最初の訪問となる12月訪問では、これから一緒に業務を行うチームの方々の要望を受け、商品の基本技術、採用しているデバイス技術などを分かり易く説明することを第1回目のテーマとし、パワーポイントのスライドを作成した上で行ったところ、社長、経営職の方々を含め、ほぼ全員が直接またはWebを通じて参加され、かつ積極的に質問や意見があったことから、新しい知見や知識を得ようとする意識が高い会社であることが見てとれた。これは私にとって、新鮮な驚きであり、やりがいを感じると同時に身が引き締まる思いであった。
 その後の毎月の訪問に際しては、日頃のリモートによる活動のフォローアップとともに、製品の品質に関することを中心に関連技術を加えたテーマを選定し、資料や情報を整理し、当日には資料(パワーポイントスライドを基本に)を示しながら解説・説明し、都度質疑応答を行う形で進めた。また、会社内で採用しているコミュニケーションツールを使用できる環境や取引先とのWeb会議にリモートで出席できる環境を整えてもらい、会社やチームの置かれている状況を理解できるようになったことは、テーマの選定や資料作成に役立ったことは言うまでない。さらに新製品の開発案件も開始され、チームの皆さんと共に進捗しんちょくさせていくことは、私自身のキャリアを最大限に生かせる機会となっている。
 訪問を月1回としたことで、和やかな中に新鮮さと少しの緊張感を持ってチームの方々と接することができ、チームの方々も集中して取り組む機会となり、少しずつスキルアップされていることを実感できる。同時に私自身もやりがいを感じられる活動となっている。これは余談となるが、訪問時の宿泊先には温泉施設があり、毎月の私の楽しみの一つとなっている。改めて今回の機会を与えていただいたABICに心より感謝している。
 今回紹介していただいた株式会社サカワは、最近企業理念を新しくされた。創業100年を超えた老舗として、創業時からのアイデンティティーをきちんと持ちつつ、新しいことに挑戦する気概を示されており、現状を打破する新商品などを検討されている様子を見ると、うらやましくもある。私自身、継続して適切なアドバイスを提供し、貢献できるところがあれば良いのだが、と考えを巡らす今日このごろである。