活動会員のレポート

日本文化教室(書道)を担当して

 留学生支援グループコーディネーター  竹原 たけはら 正和 まさかず(元 伊藤忠商事)


書道教室の様子

日本文化教室との出会い
 「日本文化教室って何だろう?」
 2021年秋、留学生支援グループのコーディネーター(CN)の役割を伝えられ、前任者から引き継ぎながら思ったことである。何せ日本語教師養成講座を経て日本語広場での講師を2013年ごろから引き受け8年目。日本語を教える以外、東京国際交流館(TIEC)での他活動は耳にするけれど、ほぼ未経験の私である。
 CN就任で日本語広場に加え、日本文化教室6分野のうち私の担当は書道、空手と伝えられた。その他に春、秋のバザーそして育児健康相談など。そのうち今回は書道教室について触れてみたい。

書道教室とは具体的に何?
 もともと書道は小学校時代授業で習わされたものの、それ以来ほぼ経験せず、また達者なわけでもない。CNとして何をやるのか、興味津々で最初のクラスに臨んだ。
 まずは開催日の案内。一体誰に出すのだろう。TIECには約800人の留学生とその家族が居住可能と聞いている。前任者のアドバイスで、まずは前回の案内先に従うこととした。コロナで長期間中断していたと聞いているが、何人の参加者になるのか。英語、日本語版で案内を作成。
 結局、参加は私が日本語授業で伝えた生徒と、RA(Resident Assis-tant)といって館内に居住し留学生の生活を裏からサポートする日本人学生が声掛けした人たちの計6人で再開したが、その後10人となり現在のところほぼ安定している。書道の先生によると以前より多いらしい。タイ、ラオス、ベトナム、中国、台湾、パキスタン、スリランカ、イラク、チュニジア等からの皆さんで多彩である。歴史、文化、言語、料理、全て異なる国々の人たちが一堂に会する。それも「書道」という名の元に集う。そんな中にCNとして自分がいる。こんな出会いの機会に恵まれることはまずあまりないのでは。そんなチャンスをABICが与えてくれたわけだ。
 Social Distanceで各テーブルには2人ずつ。すずり、筆など道具一式がそろったポータブル書道セットを各位に用意。手本用に半紙に書かれた漢字を見ながら、見よう見まねで生徒たちが書いていく。多くは易しい字体で2−4文字。そして小筆で自分の国名、名前を書き添える。それらを用意した古新聞で練習。指導の先生が一人一人指導して回る。先生は英語、仏語など語学が堪能で優しく親切で指導力抜群。古新聞練習で格好がつくようになると用意した正式の半紙に生徒たちは清書して出来上がり。驚くほどの出来栄え!

自身の抱負について、寄り添うを基本に
 「講ずるのではなく寄り添うべし」これは日本語教師養成講座での私が尊敬する指導先生の言葉。経験上「寄り添う」にはやはり来日後、日にちがたたない初級クラスが最適と私の勝手な考え方から、この8年間は日本語広場の初級クラスをずっとお願いし担当してきた。
 この「寄り添う」は日本語広場だけでなく、書道教室にても実は同様な考え方が通用することに気付いてきた。生徒と先生の交流の仲立ち、驚くなかれ生徒同士をCNが紹介するケースも出てくる。CN自身が生徒たちの仲間づくりの一助、絆づくりの一助となる。そして自分自身も仲間に入れてもらう。そんな自分の役割に気付いてきた。
 「帰国したら母国(トルコ)で書道を正式に教えてみたい。その手初めに書道教室に参加してみたい」そんなメールを最近とある生徒から頂いた。今後も寄り添ってサポートしていきたいと思っている次第。そんなことがあると心が豊かになる。
 日本語広場であれ、日本文化教室であれ、バザーであれ、育児健康相談であれ、この「寄り添う」を基本にしていきたい。われわれABIC会員は思えばほとんどシニアばかり。そして生徒から毎回大きなエネルギーを頂く。本当に若い未来の力はエネルギーのシャワーで素晴らしい。そしてこの機会を与えてくれたABICに感謝したい。