活動会員のレポート

「アントレプレナーシップの基礎」講座

 有限会社木下商会 代表取締役  木下 きのした 美紀子 みきこ(元 ノヴァ・スコシア銀行)

 ABIC関西デスクからの紹介で、園田学園女子大学・園田学園女子大学短期大学部の2018年度公開講座の後期講座に引き続き、同大学の「凛としてしなやかに~地域とつながる女性応援~リカレントプログラム」の「アントレプレナーシップの基礎」2講座を担当。登録人数は女性19人。起業に向けてマーケティングや簿記など約3ヵ月をかけて勉強、2月5日の本講義最終日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下10人が集まった。欠席者用にオンデマンド動画も撮影。本大学のコミュニケーションツール「manaba」という、動画掲載、資料アップ、受講生とのやり取りもできるシステムを活用。コロナ禍のリモート対応もしっかりできていた。
 受講生のステータスはさまざまで、子育て中のママ、起業後間もない人、非正規・正規で働く人などで、年齢も幅広い。それぞれが問題意識を持っており、現状に満足することなく未来に向けて今動く必要があると感じている女性たちで、本講義で、彼女たちに何を伝え、どのように彼女たちの人生のサポートができるだろうかと考えた。
 第1講(12月4日)では、主に何のために起業するのか?を中心に、自分は何をしたいのか? ありたい姿とは? 自分の強み弱み、外部環境の分析等から、経営デザインシートに「夢=ビジョン」を成文化することを目的とした。まずは、漠然とした自分の「思い」の掘り起こしをやってもらった。成文化するということは、「思い」をまとめる作業となり、本質を知る良い機会となった。
 まずは1分間の自己紹介を全員にしてもらった。本プログラムを受講しようという意識の高い受講生なので、しっかり自分の思いをまとめて発表するだろうとは思ってはいたが、実のところその結果は驚きで、女性の表現能力の高さを再認識した。1分という時間感覚もさることながら、皆利他の精神で、これはもう「母性」としか言いようがない。その崇高な目的に向かって、どのような事業構想が出てくるのか楽しみになった。
 自分の本質を知って、女性の特性を生かし、人生設計をする。起業は人生。経営者の思いは会社の思い。経営者は、自分の思い=夢を実現する強い意志を持ち、状況分析し、実現可能な計画を立て、行動し、ぶれない信念=理念を持って、経営を維持発展させる、といった「経営者の覚悟」を認識することが、起業家への第一歩である。次回の講義までの2ヵ月間を使って、ライフリスト、クロスSWOT分析、経営デザインシートの作成の宿題を出した。宿題は簡単ではなく、じっくり自分と向き合い、自分の思いや夢を成文化、事業構想へとつなげていく作業である。
 第2講(2月5日)では、前回の宿題のプレゼンテーションを各グループで行い、代表を決め皆の前で5分間プレゼンテーションを行った。グループセッションでは、既に仲間意識が芽生えているため、相互コミュニケーションもできており、意見や質問も活発に交換、和気あいあいと自然と意見が言える雰囲気ができている。
 プレゼンテーションの内容は、経営デザインシートに落とし込んだ事業構想を発表。ライフリストから自分のやりたい事を抽出し、クロスSWOT分析で、強み弱みと市場の機会と脅威の掛け合わせで戦略を立案。それに基づいて、経営デザインシートに落とし込んでいく流れを作った。しかしながら、時間に限りがあり、配布資料から受講生が自ら理解し考えるに任せたため、個人差が出てしまう結果となった。各自の起業への真剣度が出た感はあるが、事業構想は一日にしてできるわけもなく、起業への第一歩としては、起業家の卵ができつつあるように思う。受講生もそういう意識を持ってプレゼンに臨んでいたので、本講義の目的は達成したのではないかと思う。その後は、経営者の覚悟や戦略の考え方などを復習し、実際に資金調達、会社設立手順、士業支援、人脈づくりの情報を提示。具体的な説明となったので、起業が身近に感じられたと思う。
 経営デザインをしっかりと構想し、ワクワク楽しみながら、起業に向けて準備をしていってもらえればうれしく思う。受講生の明るい未来に向けて、初めの第一歩のお手伝いができたことを光栄に思う。
 ご紹介くださったABIC関西デスク橘コーディネーター、本機会を与えてくださった園田学園女子大学社会連携推進センターの皆さまにも重ねて感謝したい。