活動会員のレポート

ボウリング愛が海を渡る

  三浦 みうら 純一 じゅんいち (元 NTT)


筆者

USBC認定のボールクリーナー

 2020年12月から、ABICが支援している鳥取県産業振興機構が取り組んでいる中小企業支援事業の一環でABICから紹介された、鳥取県米子市にある化粧品メーカーのルウ研究所の新商品であるボウリングボール用クリーナーの全米ボウリング協会(USBC)公認の取得(注)をご支援させていただいている。2021年3月末までにということだったが、無事に3月下旬に公認を取得することができた。新年度も引き続き、2021年6月から2022年2月末までさらなる新商品(クリーナー)のUSBC公認を取得すること、そして米国、シンガポール等での直販体制の構築支援という新しいミッションをいただき奮闘の日々が続いている。
 ルウ研究所は創業以来、地球環境に配慮した未利用資源の活用を研究し、魚由来のフィッシュコラーゲンを日本で初めて抽出、実用化するに至った。ボウリングを愛する石塚社長が信頼できる成分のクリーナーがないとのことで、自社開発をしたのがこのクリーナーである。クリーナーの主成分は、天然由来ヤシ油や天然由来キャロットリーフエキスであり、低分子タイプの自然に優しいクリーナーとなっている。
 日本ではボウリングブームが1970年ごろに起こった。特に中山律子プロ等の人気もあり、ボウリング場は3,700ヵ所ほどとなった。その後は経済成長とともにゴルフブームが起き、ボウリング人気は現在に至るまで緩やかな下降傾向が続いている。最近のデータによると日本のボウリング場は380ヵ所程度で、2019年の市場規模でも600億円程度となっており、何かインパクトが欲しいところでもある。
 一方、米国ではボウリング場が12,000ヵ所ほどで、ホテル、カジノ、レストラン、バーなどが併設されているところが多い。私はバンコクで何度かボウリングを楽しんだことがあるが、照明設備などが凝ったボウリング場もあり、お酒を飲みながらワイワイ楽しむスタイルが若者に受けている。シンガポールのボウリング場も同じようなスタイルで、若者のおしゃれなプレイスポットとなっている。
 日本でボウリングが盛んだったころ、ロケット博士と呼ばれていた糸川英夫さんは、著書の中で「パチンコが日本の娯楽として盛んなのは、パチンコ台がほとんど場所を取らないからである。それに引き換えボウリングはボールを転がすからより広い場所を必要としている。ましてやゴルフはボールを飛ばしているわけだから、かなり広い場所を必要とすることになる。狭い日本ではボウリングやゴルフは根付かないと私は考えている」といったようなことを書かれていたように記憶している。現状を見る限り、少なからず糸川さんの考えは当たっているといわざるを得ないようである。
 ここで私からの提案であるが、老若男女が楽しめるボウリングをもっと身近なものにしてもいいのではないか。ホームセンターの中にボウリングレーンを併設したり、映画館や駐車場、家具店の展示場などにボウリングレーンを併設してみても面白いのではないか。親しい友人たちとビールを片手に楽しく語らい、そしてボウリングをしながら大いに笑い合うという楽しみをもう一度思い出してみたいものである。
 鳥取で芽生えたボウリング愛が海を渡り、天然由来のボールクリーナーが米国人を驚かせたり、日本でのボウリングの再興を果たすことができたら、どんなにか愉快なことだろうか。私もいつかは「マイボール」を持ってみたいものである。

(注)USBCから公認を得ると、公式競技会での使用が可能となる。