活動会員のレポート

途上国の若手官僚の皆さんへの「商社機能論」セミナーを担当して

山根 やまね まなぶ (元 住友商事)


講義風景

受講生たちと(中央が筆者)

 JICA招聘しょうへいの途上国15ヵ国、16人の若手官僚の皆さんに「商社機能論」と題したセミナーを行う機会をABICからいただいた。JICAの委託で本ミッションの訪日中のスケジュールをコーディネートされた太平洋人材交流センター(PREX)からのご依頼でお受けした。
 今回のミッションの主目的は、「自国への投資招聘の促進」ということで、与えられたテーマの商社機能論から展開させて、海外の投資家が魅力を感じる投資先とは、そして私の商社時代の投資経験を軸に話を進めた。とはいえ、今回の参加国はアフリカを中心に、アフガニスタン、ソマリア等々、私が現役時代一度も訪問したこともなく、またビジネス経験もない国々の人たちばかり。世界でもユニークなビジネス形態である商社の機能を説明してもどこまでご理解いただけるか、極めて不安であった。
 案の定、講演の前半はやはり難しかったようだが、後半は自分の体験に基づいた投資の成功例と失敗例を説明し始めると、何人かの方がぐっと身を乗り出して聞き入ってくれた。当該国の市場規模からして、私の体験例がどこまで参考となり役に立ったかということより、人間として成功もすれば失敗もするという観点で捉えてくれたのかとも思う。久しぶりの英語での2時間の講演、ぐったりと疲れたが、充実感も得ることができた。このような機会を与えてくれたABICに感謝したい。


 ABICでは、貿易実務研修・異文化研修・地域研修・海外赴任前研修等の研修を実施している。この度、JICAから委託された太平洋人材交流センター(PREX)の要請を受け、研修の一環として6月27日JICA東京にて『商社の役割とFDI意思決定要因』について研修(英語)を実施。
 同センターからは、商社活動に視点を当てた研修の希望があり、準備期間が限定される中、講師選びも急を要したが、PREXの選考により山根会員に講師が決定した。同講師は、短期間にも関わらず、誰もが理解できるよう分かりやすく資料をまとめ上げ、当日の研修に臨んだ。全員よく話を聞いていて、終了前の質疑応答も活発であった。
 参加国(注)は開発途上国が多く、総合商社とはビジネス規模も異なるが、今回の研修が今後当該国の投資促進に向けて少しでも参考になればと期待している。

(注)アフガニスタン、アンゴラ、アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、エチオピア、ガンビア、レソト、ナミビア、北マケドニア、ソロモン諸島、ソマリア、東ティモール、ザンビア、ジンバブエ、15ヵ国、16人の政府・公的機関研修員。

(外国企業支援グループ担当コーディネーター)