活動会員のレポート

第二の故郷「鳥取」

  日野 ひの 武彦 たけひこ (元 伊藤忠テクスマック)


アグリネット琴浦の製品

アグリネット琴浦フレッシュベリーファームにて
(中央が筆者)

 商社で10年、貿易会社を設立して28年、合計38年貿易一筋に歩んできた。主に機械の中国向け輸出、中国製品の輸入、中国/米国の三国間貿易の3本柱でやってきた。しかし、最近日本製品を海外に広めたいという気持ちが強くなり始めたそんな折、ABICからの、鳥取県のアグリネット琴浦の海外展開支援の公募を目にし、「日本の食品を世界に」という気持ちに駆られ応募した。
 幸運にも採用が決まったが、それまで鳥取といえば「砂丘」と「二十世紀梨」といった知識しかなく、今まで食品輸出の経験もなかったことで戸惑うことも多かった。しかし仕事を進めるにつれ、その戸惑いは杞憂きゆうに終わった。鳥取県は「とっとり国際ビジネスセンター」が中心となり県内中小企業の海外支援を積極的に行っており、資金面、情報面において協力を得る体制が整っていた。また県を挙げて「食のみやこ鳥取」をキーワードに鳥取の食資源を国内外にPR活動をしていたことが海外展開の追い風となっていた。
 輸出を進めるに当たり三つの目標を立てた。

1.商品を売り込むためのツール(英文パンフレットの作成、英文ホームページの開設、英語栄養成分表)の充実。商品は、二十世紀梨ジュース、ブルーベリージュース、ブルーベリーワイン、ブルーベリージャム、ブルーベリーハーブティ、自然薯そば、焼酎などいずれも鳥取県の食材を生かしたものである。

2.対象国の絞り込み。当面は台湾、香港、中国に絞った。

3.商談会および展示会への積極参加。

 上記商品がPRできる準備ができれば後は行動あるのみ。
 日本国内で開催される商談会はもとより海外での商談会/展示会にも積極的に参加した。2017年12月香港食品商談会では、トライアルではあるが初めての受注にも成功し、その後追加受注も来た。2018年は6月Food Taipei、8月香港Food Expo 2018に参加。参加といってもブースで商品を展示するのではなく、取引の可能性がありそうなブースに片っ端から飛び込み営業をかけた。当初はけんもほろろに断られると思ったが、ほとんどの企業は親切に話を聞いてくれた。これも海外で日本食がブームとなっている証し。どの会社も日本の食品に興味を示していると感じとれた。
 売り込みは「数を打つ」ことが大切であり、断られても、断られても、トライを繰り返すことが唯一成功への道である。アグリネット琴浦はアットホームな社風で、社長の穏やかなお人柄にも助けられ自分のペースで仕事に臨めたことは幸いであった。今後も継続的に商談会、展示会に参加してアグリネット琴浦の商品をPRし続けたい。
 私の人生で鳥取県を訪問したのは過去に一度きりであった。しかし、この仕事を引き受けてから打ち合わせで鳥取を訪れる機会が大幅に増えた。大阪からスーパーはくとで約3時間、在来線に乗り継ぎ30分、決して近くはないが、地元のおいしい食材に触れ、雄大な大山と澄み切った日本海を堪能できる。今や鳥取は私の第二の故郷になりつつある。