「世界の食文化」講座講師打ち合わせ
2008年12月、ABIC吉田前理事長から大学講座グループ宛に突然メールが舞い込んだ。前理事長の売り込みにより、ABICの活動に多摩大学グローバルスタディーズ学部の学部長が興味を示されたとの情報であった。
当初の要請は立命館アジア大平洋大学(APU)で実施しているような、英語による講義ができる講師を紹介して欲しいというものであった。その後、日本語による新講座を含む多岐にわたるプログラムに対応できる講師派遣の依頼が寄せられた。合計6講座165コマに及ぶもので、しかも秋学期からの開始を希望していた。具体的には「日本語中級」「通訳入門」「簿記入門」「マーケティング」「世界の食文化」「Web進化論」である。コマ数が多く、準備期間がないにもかかわらず、推薦あるいは公募に応えてくださった熱心な講師候補の方々のおかげで、頻繁な討議の結果、講座構成が完成し、大学からの正式委託を受けることとなった。
多摩大学グローバルスタディーズ学部は2007年度に開設された新しい学部である。ちなみに2009年4月より、寺島実郎氏が学長に就任している。その入学案内に記された標語は「現代の志塾」であり、少人数教育によって、コミュニケーション力を養い、問題解決力を身につけるということである。時代の要請に応える3つのキーワードの①国際性、②学際性、③実際性は、まさにABIC講師陣による講座提供にもっともふさわしい表現でもある。
出講いただいた講師は合計23名となった。「日本語中級」では様々なレベルの留学生向けにきめ細かい日本語指導を実施した。「通訳入門」では、基礎理論と実践という2人の講師の組み合わせにより、メリハリのある授業となったようだ。「簿記入門」では、簿記4級、3級合格を目指して、補講を行うこともあり、結果として優秀な学生は2級に合格したとのうれしい知らせが届いたという。
また、ABICが特徴とするオムニバス方式講座として実施した3講座については、まず「Web進化論」がある。3名の講師陣はケーブルテレビ事業、企業経営におけるIT活用、グローバルIT事業の国際支援という経験を有する方々で、それぞれが異なる分野を担当し、英語による講義を行った。
次に、「マーケティング」であるが、異なる産業分野の講師8名による構成とした。対象学生が就職活動真っ只中にある3年生ということもあり、多摩大学としては多い26名もの学生が履修した。出講した講師からの学生に対する評判は上々で、多摩大学が理念としている少人数制のアットホームな雰囲気の中、学生たちは活き活きしており、講師からの問いかけや討議にも積極的に参加してくれて、大教室での講義とはまた一味違った講義をする楽しさを味わったという。また、「世界の食文化」では概論に続く授業の中で、実際に現地の食物を持参し、ポットで調理し、学生に試食させるなどした8名の講師陣に、19名の学生達はさまざまな感想を述べていた。
無事に全講座が終了し、2010年度はさらに一部の講座が倍増となって315コマを引き受けることとなった。来年度の講座継続に向けて、それぞれの講座ごとの講師による反省会と打ち合わせ会、そして懇親会を行い、熱心な討議を行った。2010年度も多くの学生が受講してくれることを講師全員が期待している。
(大学講座等コーディネーター 猪狩 眞弓)