マンスリー・レポート No.81 (2007年9月)
活動会員のレポート
  Bilingual Business Adviser(BBA)体験記
  金子かねこ 和夫かずお(元 日本ロシュ(株))
「食品開発展2006」にて岡部氏(ABIC会員)と共に
筆者(右)

 私は、今ではABIC会員だが、もともと「NPO法人シニアボランティア経験を活かす会」に所属している。2006年の秋、活かす会の角井さん(ABIC国際理解教育コーディネーター)から「食品開発展2006」のBilingual Business Adviser(BBA)をABICで募集していることを知った。医薬品、食品添加物の品質管理や開発業務の経験があり「食品開発展」をよく知っていることから、早速応募したがすでに募集は締め切られていた。

 しかし、しばらくしてABICから「食品開発展2006」に出展するシンガポールのビタミン製造会社のBBAの話があった。ビタミンについては分析、開発、製造、申請とほとんどの業務に携わっていたので、良い仕事だと思い引き受けた。事前に多くの資料を頂き、調査を十分したこともあり、専門用語を駆使し、ほぼ順調にいった。通訳に詰まっても、もう一人ABICのBBAの岡部紘(元 東食)さんがおられたので心強かった。

 年末になり、同社から直接、売り込みのために来日する際のアテンドの依頼があった。何回かメールをやり取りした後、本年2月末に来日した。スケジュールに沿い2日間、1日2社ずつ会社を訪問した。新宿のホテルまで迎えに行くと、重そうなケース(ノートパソコン、資料、サンプル)を持って現れた。訪問先でそのパソコンを取り出し、パワーポイントを用いて説明した。ある社では日本語が解るアメリカ人が同席し、ある社では日常業務で英語が必須のため、ほとんど通訳は必要なく、技術的な部分の通訳だけで済んだ。

 2007年3月末の「健康博2007」では、営業のため再来日した際もアテンドした。関連する出展社のブースを回り、サンプルを試食したり、自社品を添加して新商品の開発を進めたり、2日間かけて売り込みを行った。


 このクライアントは日本びいきで、本年2月は、日本そば、うなぎ、てんぷら、干物屋で食事し、土産にのりと煮干を買うためアメ横に行った。煮干のだしの取り方を店主に質問したりし、夜遅くまで行動をともにし、帰宅したのは夜12時過ぎであった。
 3月は、奥さん、お子さんと一緒に来日。東京に慣れたこともあり、この時は行き先のみ教えてアテンドしなかったが、土日は東京見物やディズニーランド、ディズニーシーに足を伸ばし、楽しんだそうだ。


 ところで、同行して通訳するに当たり、守秘義務契約書の締結を求められ、署名した。守秘義務契約を要求された以上、もはや好意的に無償でアテンドするのはおかしいとのABICのアドバイスがあったので、手数料を要求することにした。たびたびメールして交渉した結果、振り込み完了まで約2ヵ月かかったが、なんとかもらうことができた。個人で行うときは、「事前にしっかり取り決めをしておくこと」という教訓を学んだ。

 2007年4月には「医薬品原料・中間体展」で国内のアミノ酸メーカーのBBAを担当した。アミノ酸にも興味を持っていたこともあり、アジア、北米、南米からの来場者に対する通訳はスムースにいったように思う。「食品開発展」の後、英語に慣れるため、毎日ラジオ講座を聞いているが、継続は力となり、役に立ったような気がする。

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