マンスリー・レポート No.68 (2006年8月)
活動会員のレポート
  国連WFP協会エキスペリエンツ・ボランティア(EV)体験記
  厚浦あつうら 孝之たかゆき(元 伊藤忠商事)
5月21日 WFP世界同時チャリティウォークにて
舞の海さんと

 ABICから国連WFP協会のエキスペリエンツ・ボランティア(EV=経験に富んだ知恵者)の募集が2005年8月末にあり、それまでABICを通じ留学生のホームステイ、ワールドカップのボランティア、国際バザーを体験し、大きな充実感を得ていたことからこれに応募、採用された。

 国連WFP協会は国連の最大人道支援機関であるWFP(世界食糧計画)を民間でサポートするNPOである(会長は丹羽伊藤忠商事会長、事務局6名、EV 19名が活動主体)。

 協会主催作文コンクールの昨年度の外務大臣賞は「マリー・アントワネットになりたくない」であった。「パンがなければケーキを食べればよい」と言って断頭台に消えたことを「無知と無関心からだ」と言い切った中学生に全く同感であった。世界に5歳以下の子供が飢餓で5秒に1人亡くなる現実があり、この現実に無知と無関心ではなく、わずか20円の節約で子供1人(コーヒー1杯分で何十人も)が1日生き長らえるなら、経済大国となった日本から何かできないか?

 仕事は、“日本の経営者は自分のことだけでなく、世界貢献を”、また“企業活動にCSRは欠かせない概念で絶えず意識して経営を”を自分の考えとして、各民間企業トップ、CSR担当者、総務、広報、人事の方々に面談する。そして企業各社に、評議会に参加し資金協力をお願いするとともに、各企業の専門分野での飢餓、貧困の解決に協力を呼びかけ、各種協会イベントへの参加協力、協働プログラムへの参加を要請する、そして国連の一般広報活動と多忙である。

 ボランティアは仕事である。ならば24時間、協会のことを考えて行動せねばならない。初めての秘湯温泉宿に行って、「国連の貯金箱を置かせてもらえないか」。だが、通いなれた割烹では雰囲気を壊すと断られ、同級生の日本の超トップ企業社長には評議会に即入会してもらったが、懇意の友人、企業の一部からは渋られ、意外であったと唖然とする。

 だが仕事を通じた繋がり、特に製紙業界、産業機械業界および伊藤忠関連各社には多大にサポートしていただき、感謝の言葉が見つからない。激励、アドバイス、そしてCSR、社会貢献、NPO問題から国連の有様、歴史観、世界情勢全般に亘る各社との面談は、時代の中心に活動している自分を感じる毎日である。

 5月21日は、国連世界同時チャリティウォークが横浜で行われる。小学生時代に国連の粉ミルクで育てられた戦争孤児の自分にとって忘れられない横浜で、この活動に共感する人々と肩を抱き、胸を張って歩きたい。でも、アフリカの飢餓の子供を忘れずに。

(5月13日筆)

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