活動会員のレポート

ABICとの出会いから活動参加へ

  久留 ひさどめ 聰子 さとこ (元 ルノーアジアパシフィック)


学生の皆さんと(前列左から6人目が筆者)

ABICとの出会い
 私がABICを初めて訪れたきっかけは、第一回日本語講師養成講座だった。語学教育に興味があり、フランスに留学してフランス語教授法の大学院課程を修了した私に、「日本語を外国人に教えるという逆も学ぶことでより豊かな指導ができるのでは?」と伊藤忠OBの亡き父(ABIC会員)に誘われたことがきっかけだった。後に日本語教師養成講座の講師になられた鈴木松子先生と同期で楽しく学んでいたが、出産のため講座をやめることとなり、人生初のドロップアウトという苦い経験がABIC活動のスタートだ。近い将来、リベンジを果たし「言葉×異文化理解」を相互に伝えられるようになりたいと意欲に燃えている。

大学での講師経験
 ご縁をいただき、名古屋外国語大学にて「国際ビジネスマン等が見た現代社会―グローバル時代を生き抜くために」というテーマで講義をさせていただいている。そうそうたる講師陣の皆さんの中に自分の名前を見て、「私が何を提供できるのか」をひたすら考えた。学生たちに少しでも年齢の近い立場として、就活への「希望」より大きな「不安」を抱える学生に寄り添い、リアルなビジネスの現場を具体的にイメージさせること、ビジネス経験よりも、どのようにビジネスのシーンに一歩を踏み出したか、より良い働き方、魅せ方を創意工夫したかを話すようにしている。より良い社会人デビューのヒントになればと願っている。
 2016年度より英語で「グローバルタレント」に関する講義をするという新たなご依頼をいただいた。フランス語が得意な私にとって英語で講義することは大いなる挑戦だったが、「声がかかるということはやれるということだ」と信じて、先輩方と共に「志事」に携わらせていただいている。こんな光栄なことはないと感謝している。
 文学部卒の2児の母の私が、ABICという団体に光を当てていただいたことで予期せぬ大舞台に立たせていただいた。こんな私だからこそ、今は職歴ゼロの学生たちに勇気を与えられることもあろうと、日々、キャリアを積むべく勉強を重ねながら、魅力的な切り口、伝え方を極めて学生たちに還元していきたいと意気込んでいる。

世界を股に掛けて活躍するグローバル人材育成を目指して
 ABICの皆さんは、コミュニケーション能力に長けていて好奇心旺盛でチャーミングな方ばかりだ。誰とでもすぐ打ち解けて仲良くなろうとする父と一緒に働いていたかもしれない会員の皆さんに会うと、目頭が熱くなることもしばしばだが、ABICでの活動と出会いが父ののこしてくれた一番の宝物だと思っている。
 余談だが、草の根レベルではあるが幼児向けの語学教育をスタートした。ABICの皆さんと接するにつけ、世界で通用する人材になるには、単なる語学力だけではなく、日本人としての誇り、アイデンティティーを同時に育てなければならないとひしひしと感じたからだ。このような壮大なプロジェクトを考える視点を持てたことも、ABICの活動があったからこそだと思っている。ABICの皆さんから受ける細胞が活性化されるような刺激を言葉にし、若い方々に伝えていきたい。