活動会員のレポート

法政大学ISG講座(英語)を終えて

家弓 かゆみ 広一 こういち (元 東京三菱銀行)

 私は旧東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)と銀行退職後の他の会社で、米国等4ヵ国、通算18年間の海外駐在勤務を経験した。
 ABICには2012年の夏に会員登録したが、数ヵ月後にABICから連絡があり、法政大学・海外交換留学生(2013年度は13名受講)向けに「国際金融」の講義を受け持ってほしいとの要請があった。講義は4人の講師によるオムニバス形式で、私は2013年4月の3コマ分(1コマ90分)の「直接金融」を任された。銀行出身の私は「間接金融」が専門で、証券会社が主体となる「直接金融」は門外漢である旨伝えたが、ABIC会員には証券業界の会員がいないとのことで、できる範囲という前提で講師を引き受けた。
 講義の1コマ目と2コマ目は、法政大学市ヶ谷キャンパスの教室で、「直接金融」と「間接金融」の違い、証券業界用語等の概括的説明や日本の株式・債券市場について、具体的数字を使用し解説をした。特に安倍政権が強力に推し進めている「アベノミクス」は重点的に解説した。また、講義の合間を利用して、日本の特異性なども学生と議論した。
 3コマ目はキャンパスを離れ、東京証券取引所を見学した。学生たちは全てコンピューターによる日本の株式取引に、大いに興味を持ったようだった。東証側の英語が堪能な女性ガイドによりツアーもスムーズで、学生の質問にも親切に回答してもらい、東証ツアーは大変好評だった。
 全講義終了後のレポートの課題は、日本の全般的な印象について記述させた。ほとんどがフランスからの留学生だったが、全員異口同音に「日本は全く異文化・異環境の国」、治安の良さ、清潔さ、食事のおいしさ等やコンビニの便利さを高く評価していた。また、日本のアニメ・漫画、ハイテクやファッションにも興味を持っている学生も多かった。一方、日本では外国語が通じないことに不便さを感じたと、日本の国際化の遅れについての指摘もあった。日本人として、こちらもいろいろと教えられ、文化の違いを感じる興味深いレポートが多かった。
 今回、教壇に立ったのは初めての経験だったが、海外からの若い留学生を相手に英語で講義するのは、普段はなかなか味わえない楽しい経験だった。このような貴重な機会を与えていただいたABICにあらためて感謝したい。現在は、再就職しタイで勤務しているが、またお役に立てるような機会があればと思っている。


東京証券取引所で