活動会員のレポート

「国際化とは何か、日本人が国際人として何が必要か」猿楽小学校での授業

坂田 さかた 修一 しゅういち (元トーメン)

 2011年12月10日土曜日、渋谷区立猿楽小学校を訪ねました。私が頂いた課題は、「国際化とは何か、日本人が国際人として何が必要か」、6年生社会科の授業です。既に世界地理を勉強していますので、私が体験した各地での学校、スポーツ、音楽などを交えて話すようにしました。時間は朝の第1~2限の90分です。

 第1限では、私が冒頭に「外国に行ったことがある人は?」と聞いたところ、クラスの35人のうち20人以上が、「では外国に住んだことは?」に男の子2人が、手を挙げました。猿楽小学校の6年生は、海外旅行を経験したり、猿楽町で外国人を多く見たりで、外国を身近に感じているようです。
 「国際化とは異なる地域のヒトとモノとカネが行き来して、文化と情報が交流することです」と、私は始めました。持参したマトリョーシカに子どもたちから「あ!ロシア人形だ!見たことがある!」と声があがりました。「ロシア人が箱根で見かけた寄木積み木からヒントを得て、入れ子人形をつくったと言われています。日本工芸品の文化、寄木の技術がロシアに伝わり、代表的な土産品となり、外貨獲得、ロシア人形文化を輸出できるようになりました。ヒトとモノとカネと文化の国際交流の例のひとつです」
 次いで「異なる地域の習慣と文化を理解し互いに敬意を持つようにしましょう。外国のあいさつ、マナーの例をご紹介します」と、おじぎ、握手、胸の前で手を合わせる合掌などを最前列の男の子と実践してみせたところ、女の子が隣席の女の子と抱き合ってハグをみせてくれました。私は「あいさつのかたちは様々ですが、世界共通のポイントは、親しみを込めてアイコンタクトすることです」と、続けました。
 さらに、世界各地のジャンケンのイラストをOHPで大型モニターに写し、指と手の形をつくり「隣の席のお友達と試してみよう」に、子どもたちが盛り上がってくれました。
 また「外国と日本の小学校では、異なる点があります。たとえばアメリカでは小学校の先生と生徒の多くが黒板に大きく○(丸)を何故か描けません。場所を説明するのに地図でなく言葉で説明します。日本の6年生なら誰もが持っている三角定規、分度器、コンパスをアメリカの子どもは見たことがありません。日本にある《学期》がなくて通知表がありません。また教室の掃除を子供は一切しませんので、用務員さんが掃除します」と、言うと子供たちは驚いたようでした。私は「日本とアメリカ、どちらが良いか悪いかではありません。お互い文化が異なるからこそ国際交流は面白いのです」と強調しました。

 第2限では、「今も各地で争いが起こっています。平和の願いを込めてつくられ、世界中で歌われ愛されている歴史に残る名曲《イマジン》で英語と音楽の勉強をしましょう」として、楽譜、原文と私の訳詞を全員に配ったら、アメリカ現地小学校にいた男の子が直ぐに手を挙げ歌詞をネイティブの発音で読んでくれました。「人間同士が、国や領土や宗教で憎み殺し合うのは無意味だ、壁のない世界を想像してみよう」と歌詞の理念を説明し、持参したCDを聴いてもらいました。全員で歌いたかったのですが、時間が迫っておりできなかったのは残念でした。「ご両親は必ずご存知の曲です。英語の意味を確かめながら一緒に歌ってください」と締めました。

 授業後の先生方との懇談で、担任の若い男性の先生ご自身が帰国子女で、国際化とは何かを常に考えておられたそうでした。校長先生は、猿楽小学校の6年生の多くが私立中学受験で土曜日は学校より塾を優先する親もいる。この時期に国際化について話を聞けてよかったと、おっしゃっておられました。
 私自身、子どもたちがどう理解してくれたのだろうか、国際化をどう考えるのだろうかと思いを巡らせました。大変貴重な経験をさせていただけたことに改めて感謝いたします。有難うございました。