活動会員のレポート

最近の留学生支援活動の広がりー育児・健康相談、入園・入学支援サポートを中心に


育児健康相談サポート

入園サポート

 留学生支援事業の拠点である東京国際交流館では、現在、週に18クラスの「日本語広場」と、週末の茶道、華道、書道、囲碁、将棋、空手クラスの「日本文化教室」の開催のほか、ABIC会員や支援企業の提供品による留学生支援バザーの定期開催など様々な支援活動を行っている。
 また、5年前からボランティアチームを組成して、妊娠・出産・育児・健康相談・検診・通院・治療など、家族の健康管理や通園・通学手続きなどの支援が始まった。通常は交流館からの要請にもとづき、チームメンバーに参加を呼びかけ、都合のつくメンバーが対応するが、緊急性の高いものも多く、携帯電話を通じての24時間対応型の活動となっている。
 支援件数は、5年前には6件だったが昨年は55件に、また参加したボランティア人数は5年前の22名から昨年は138名に増加した。本年1月以降の2~3の事例を、参加したメンバーの活動報告の一部をそのままに引用して以下にご紹介する。

<江東区保健所の専門スタッフ数名に参加いただいての妊娠・育児・健康相談サポートの報告>
 パキスタンの友人からの相談とカザフスタンの妊婦さんの相談の通訳を務めました。パキスタンの友人の方は誰にも話し出せなかったことが相談できたことで表情が明るくなったようでした。ただ、時間内に相談できなかったことが一件あるとのことで、こういったことを後日保健師の方に個別に相談の連絡をして良いものかどうか悩んでいます。
 また、カザフスタンの妊婦さんは初めてのお子さんであること、日本語がまったくできないことで少しナーバスになっておられるご様子でした。彼女の場合腎臓の疾患で高アルブミン血症があり妊娠前は抗生剤の投与をしてきた、いつになったら再開できるのか、という質問があり、それには答えられないままになっていて気になっています。また妊娠中の定期健診の際に付き添いが必要かと思われるのですが、どうなのでしょうか。(コーディネーター補足:相談会の後でも保健所チームリーダーの方に電話やメールで質問・相談してもいいように、話しておきます。また定期健診の通訳・付き添いについては管理センターを通じて依頼いただけば、我々で対応可能です)

<15回にわたる妊婦の通院サポートの後に赤ちゃん誕生を迎えた日の報告>

  • 土曜の午後1時ごろ、「~~さんは昨夜、破水、出血もあり、午前8時から陣痛促進剤を点滴しているが効果が少なく、午後2時ごろから帝王切開を予定している」との緊急電話を受け、急遽病院に駆けつけました。
  • その後、徐々に点滴の効果が表れ、陣痛室から分娩室へ移動しましたが、胎児の大きさに比べ~~さんの骨盤が狭いこと産道が固いことなどで、柔らかくする注射をしましたが、大きな効果がなく時間ばかりが経過。医師は「帝王切開」を提案、そのための準備もしましたが、~~さんはあくまで自然分娩を希望。
  • 医師や助産師の交代時間となり3名の医師と6名の助産師のもと吸引分娩でようやく無事出産。午後5時を過ぎていたと思います。後産の処置にも立会ました。
  • 3,500グラムの健康な男子でした。図らずも分娩に立ち会って貴重な経験となりました。
    子供の健やかな成長を心から願っています。

<「日本語広場」の教え子から緊急応援要請を受けクリニックと病院に連れて行ったサポートの報告>
 ~~さんは、前日の金曜日にも自宅近所の病院で診察を受けていましたが、出された薬を飲んでも改善されず更に症状が悪化したため、土曜日午後に診察をしていた違う病院へ行くことになりました。診察の結果、「詳しくはわからないが、ひとまず点滴を」とのことで点滴をしましたが、全く改善されず、逆にひどい痛みと嘔吐があったため、点滴を中断し、墨東病院を紹介して頂きました。
 墨東病院では、血液検査・エコーを行いましたが、軽い貧血・炎症はあるものの、それ以外に特に問題はなく、原因の特定ができないということで、続いてCT検査を行いました。本当は造影剤を入れるはずでしたが、うまく入らなかったようで、造影剤なしの検査になりました。その結果、卵巣に問題があるかもしれないということが判り、今度は、婦人科医師より尿検査・内診などが行われ、その結果「卵巣が腫れている(通常3cmが10cmに)。ねじれている可能性もある。あまりよい状況ではないので、緊急ではないが、様子を見て手術が必要」との結果に至りました。そして、7日月曜日に、もっと詳しいことを調べるために、検査を予約して頂きました。また抗生剤などの薬や痛み止めも処方されました。
 病院は非常に混んでおり、ひっきりなしに患者が来るため、検査結果を待つ時間も長くなり、私が家に着いたのは、深夜1時を過ぎていました。

<留学生の家族(母子)に付き添い幼稚園で通訳・書類記入などでサポートした報告>
※ 支援内容

  • 園長からの教育方針・指導の重点・入園前留意事項などの説明
  • 主任教諭からの入園関係書類の記入要領と購入・作成すべき衣服・用具の説明
  • 地元郵便局長からの郵貯講座開設や自働引落とし申請要領の説明
  • 制服・制帽などの採寸と注文

※ 感想など
 幼稚園に到着し受付の列に並んでいる時に、~~くんは、すぐに幼稚園の遊具で遊び始め、大きな滑り台が気に入った様子だった。
 手続き後は、親と別れ子供だけで友達や先生と遊ぶ部屋が設けられており、~~くんを連れていったが、少しするとお母さんのところへ戻ってきてしまった。少し心細かった様子だったが、お母さんが一緒に部屋まで連れていき、何度も母国語で説明したところ納得した様子で中に入って行った。やはり、いつも家族だけで過ごしていただけに、最初だけであると思うが、戸惑いがあるようだった。これから入園までにまだ何度か幼稚園を訪れる機会があるので、徐々に幼稚園に慣れていってくれると思う。
 幼稚園の用具については、帰国する家族から全て譲り受けることになっているため、学年によって色が異なるカラ―帽子と名札のみを注文した。お弁当箱や上履きについても詳しくお話があったため、ポイントを説明した。

(留学生支援担当コーディネーター 田中 たなか 武夫 たけお